脳神経内科
脳神経内科
脳神経内科は脳と脊髄、そして手足を含む全身の神経や筋肉の病気を診療する内科です。
体を動かしたり、感じたりすることや、考えたり覚えたりすることがうまくできなくなったとき、それらの機能に関して、頭からつま先までの神経細胞のどこに問題が起こったのかを診断し、内科的治療を行います。問診(医療面接)、診察、検査、治療(投薬や手術)といった4つの要素から診療は成り立っていますが、他科と大きく異なるのは神経診察を行うということです。例えば頭痛の場合、眼の診察から始まり両手両足まで全身を診察することで、脳に問題があるかどうか、あるとすれば脳のどこに問題があるかがわかります。
脳神経内科でよくみられる症状としては、頭痛やめまい、しゃべりにくい、ものが二重に見える、もの忘れなどの意識の障害、言語や認知力の障害があります。運動の障害には、手足の麻痺(マヒ)、筋肉の力の低下とそれによる起立や歩行の障害、痛みやしびれ、感覚の低下などがあります。自律神経の異常として排尿や排便、発汗や血圧調節の障害などもあります。これらの症状の中には、ときに早急に治療が必要な病気が隠れていることがあります。扱う病気としては、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)、認知症、てんかん、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患、多発性硬化症・重症筋無力症といった神経免疫疾患などがあります。
また、全身を診ることから、脳神経内科の病気と紛らわしい病気もある程度診断できるため、適切な検査や専門的な医療機関につないでいけることも特徴です。何科を受診してよいのかわからない、他の診療科では原因がわからないといった場合なども、ぜひご相談ください。
脳の病気は早期発見、早期治療が重要です。下記のような症状がある場合は、お早めにご相談ください。
脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血、くも膜下出血)して、脳の機能が障害される病気の総称です。日本で最も多いのが脳梗塞で、脳卒中の7割を占め、次いで脳出血が2割、くも膜下出血が1割といわれています。脳梗塞で脳の血管が詰まると、急に手足が動かなくなったり、感覚が麻痺したりします。また、言葉がうまく話せない、話が理解できない、意識がなくなるなどの症状が起こることもあります。脳出血は、頭痛があることがほとんどです。手足に力が入りにくい、ろれつが回らない、顔がゆがむといった症状が急に現れてきます。くも膜下出血は、急にハンマーで殴られたような激しい頭痛が生じます。出血量が多い場合、意識を失ったり、手足の脱力が生じたりします。
脳梗塞の原因には、脂質異常症や糖尿病、高血圧症などの影響で、動脈硬化を起こして血管の内部が狭窄しているところに血の塊が詰まってしまう「血栓」と、血管内部に狭窄はなく、血の塊がすっぽりとはまって閉塞してしまう「塞栓」があります。また、病態によってラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞などの病型に分けられています。ラクナ梗塞は脳血栓症で、細い血管の動脈硬化によるものです。太い血管の動脈硬化によるものはアテローム梗塞といいます。心原性脳塞栓症は、心臓内に生じた血栓などが血流にのって脳に到達し、脳動脈が詰まって起こります。ここにあげた3つの病型のなかでは最も急激に症状が現れ、重症であることが多いとされています。
代表的な症状には、麻痺、意識障害、言語障害、運動障害などがあります。
脳の表面にある動脈が破れ、くも膜下腔と呼ばれる部分に出血が生じ、症状が出現します。くも膜下出血は脳卒中の中で死亡率が高く、重症な病態といえます。特徴的な症状として「突然起こる激しい頭痛」があります。原因として最も多いのが「脳動脈瘤の破裂」によるもので、全体の80%以上を占めています。治療には手術で脳動脈瘤の根元をクリップで止める「クリッピング術」や動脈瘤の中にコイルを詰め込んで破裂を防ぐ「動脈瘤内塞栓術」があります。
認知症とは認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。アルツハイマー型認知症が認知症の中で最も多く、脳神経が変性し脳の一部が萎縮していく過程で生じてきます。もの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行します。次に多いのが脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)による血管性認知症です。障害を受けた脳の部位により症状が異なります。ゆっくり進行することもあれば、急速に進むケースもあります。
現実に見えないものが見える幻視や手足が震えたり歩幅が小刻みになったりする症状が現れるレビー小体型認知症などもあります。
認知症ではなさそうだと思っても、以前よりもの忘れが増えていたり、もの忘れの頻度が同年齢の人と比べて少し多いと感じたりしたら、念のために受診しましょう。早期発見・早期対応につながります。
アルツハイマー病に次いで頻度の高い神経変性疾患です。加齢が重要な危険因子とされています。症状としては、静止寺に手、足、あごなどが震える振戦、筋肉が固くなる強剛(筋固縮)、全身の動作が鈍くなる無動、体のバランスが悪く、倒れやすくなる姿勢反射障害があります。診断基準では、無動または寡動(身体の動きが鈍く、表情の変化が乏しい状態)が必須で、静止時振戦か筋固縮のいずれか一方か、両方を伴う場合にパーキンソン病が疑われます。専門医がフォローするほうが、生命予後が良いというデータもありますので、疑われるときは早めに受診することが大切です。
問診票をダウンロードしてご記入のうえ、お持ちいただくとスムーズに受診できます。
はじめて当院に受診される方は「はじめて当院で診察を受けられる方へ」問診票を、物忘れが気になる方は「物忘れ」問診票、頭痛で受診される方は「頭痛」問診票を、それぞれのご記入をお願いいたします。