脳卒中の症状はBE-FAST これがあったら脳卒中を疑おう
- 2023年6月17日
- 院長のおはなし
どうも、院長です。
先日行われた 神奈川区医師会学術講演会にて
現 新百合ヶ丘総合病院 脳卒中センター センター長
聖マリアンナ医科大学 特任教授 長谷川 泰弘先生のご講演を拝聴してきました。
「歩いて受診する脳卒中の初療と連携」
についてのお話で
当院のような脳神経内科を専門とするクリニックのDrとしては
ぜひ学んでおきたい内容でした。
長谷川先生は神奈川、日本における脳卒中の第一人者の先生でして
今後高齢化社会において増加していくことが想定される脳卒中(脳の血管障害の総称)を
いかに予防するか、また発症してもすみやかに治療し、後遺症をなるべく軽減していくか、
について様々な知見をお話されていました。
そのお話で、院長が
このブログを読んでいただいている皆様にお伝えしたい!
と思ったのが、
長谷川先生が、脳卒中で注意すべき症状のまとめとして提案されていた
BE-FAST
これは、2017年にStroke誌で提案、欧米で用いられ始めた脳卒中を疑う症状のまとめです。
(うえのBE-FASTよりStroke誌のページに行けます)
日本で有名なのはFAST
顔面の麻痺、腕の麻痺、言語障害がでたら発症時間を確認して
すぐに救急車!
というもので、日本脳卒中学会などもこれを用いて
脳卒中の症状、および発症したらすぐに救急受診することを啓蒙していました。
BE-FASTは、FASTでの症状(顔面の麻痺、腕の麻痺、言語障害)に加えて
バランス(歩行障害)、目の症状(片目が見えない、視野が半分欠ける、物が二重に見える)の二つの症状が追加されています。
When it Comes to Spotting a Stroke, B.E.F.A.S.T. (bch.org)より上図を引用しました。
Stroke誌の報告によると
この方法によって脳卒中のうちFASTで検出できなかったかたが14.1%いたのが
BE-FASTとすることで検出できない患者さんが4.4%まで減少した!
とのことで、今後脳卒中を疑う症状のまとめとして
これを用いることを提案されていました。
日本版ではこれになります。
皆様も、ぜひご参考にしてみてください。
なぜ、院長がこれが気になったか?
といいますと、片倉町あかり脳神経内科・内科クリニックが開院してから、
すでに5名ほどの、発症してまたあまり時間が経過していない急性期の脳梗塞(脳卒中のうち、脳の血管が詰まる病気))をMRIで診断し、脳卒中の入院治療が可能な病院に救急で紹介しているのですが、
その5名の方の症状は
ふたりが片麻痺、
ひとりがめまい
ふたりが大きな麻痺を伴わないふらつきでした。
FASTではめまい、ふらつきのかたは該当しないので
MRIで急性期脳梗塞と診断した5人中3人が該当しないということになります。
それだけ、脳卒中の症状はいろいろある、ということです。
なにかおかしいな?ということがあれば
上記のBE-FASTの症状のまとめにあてはまるかどうか、確かめてみるとよいでしょう。
そして症状が該当するようであれば
善は急げです。
脳卒中の高リスクの要因として
★発症間もない(48時間以内)
★1週間に2回以上の発作(Crescendo)
★心房細動(脳梗塞の原因となる不整脈)
★明確な局所神経症候があること
が提案されていました。
おかしい!と思ったら
MRIが撮影可能な施設に早急に受診することをお勧めします。
院長がクリニックを始めて思ったのが
いろんな症状の陰にいろいろな病気が隠れている!
ということです。
まさか!と思うことが
実は脳神経の疾患であることが結構あり得ます。
当院を始めて430名の患者様に来院していただきましたが
本当に皆さま多彩な症状を訴えられており
かつその中にいろいろな病気が隠れていることがあったのです。
当院はMRIやCTがありますので
画像診断が速やかに行えますが
これは画像を見ないとわからないかも‼
というかたもいらっしゃいました。
今までわからなかった病気が
画像を撮影することで診断できて
患者様が納得されたのを見ると
診断できてよかったと思います。
なにゆえの症状なのかわかれば、
どのようにしていけばよいのかわかりますものね。
もし、何か気になる症状があるかたがいましたら
ぜひ当院にいらしてください。
院長、スタッフ一同
お待ちしております。